介護・奮戦記などの読みもの

あっちゃんネーの泣き笑い介護奮戦記

第5話 “もうすぐクリスマス”

母が東京に来るようになったほほ同時期、父は療養型病棟を持つ病院に転院となった。
急性期の病院と違い、療養やリハビリを中心とした病棟だけあって、生活しているという感じが伝わるところだった。ただ、6人部屋に入った父は最 初、うなっている人がいるかと思えば、大声を出してわめく人もいるといった状況の中で、多少戸惑っていたようだ。しかし、同室の患者さんのご家族や、お見 舞いの方などとつじつまの合うような合わないような会話をしながら、自分はしっかりしているといいたげな表情で、このような病室の状況はさほど苦にしてい ないようだった。入院する以前は、とても神経質できちんとしすぎているぐらいきちんとしていた人なので、なんとなく落ち着かない病室の雰囲気を少し心配し ていたが、父は頭の手術をしたせいか人が変わったように穏やかになっていた。そのおかげというのもなんだが、病室の方にも看護婦さんやヘルパーさんにもか わいがられて(?)いる様子がおかしかった。
リハビリ室で歩行訓練をしたり、生活リハビリと称して習字や折り紙、絵画と毎日いろいろな訓練があるし、なかなかいいと思った。しかし、カラオケ とか民謡とかは、もともと全くそういうことを知らない父は、そのときばかりは、ホールで他の患者さんがマイク片手に生き生きと歌ったり、得意のこぶしのき いた節回しを披露していても、「ボーッ」としてつまらなそうだった。老人といっても大多数からはみ出るうちの父のような人もいるわけで、デイサービスやデ イケアでいろいろな催しを考えられるスタッフの方々のご苦労が察せられた。
そして、一見しっかりしている風の父ではあったが、毎晩失禁が多裏にあり洗濯物が山積みで、一日おきに来てくださるボランティアのヘルパーさんに はずいぶんと大変な思いをさせてしまった。彼は、日中はパンツタイプの紙おむつに尿器を使かっていたが、夜は、目覚めることがほとんどないか、目覚めて尿 器を使ってもこぼしているようだった。私は母のこともあって毎週父の所に来ることができないので、たまに来て、排泄ケアがどうのといったことは言いにく かった。患者の家族の心理である。
そうこうしているうちに12月、外の空気が凛としてきて、母との約束のクリスマスが近づいていた。


 
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